「完読すれば、人間の質がだいぶ変わるだろう!?」
こんにちは、ストロング宮迫です。
ようやく寒い冬になってきましたね。こうでなくっちゃ!
寒いついでにお寒い話を。
ご存じ、大王製紙の井川意高前会長(47)による巨額借り入
れ問題。
先月28日に発表された特別調査委員会の調査結果によると、
井川意高前会長は連結子会社7社から無担保、しかも電話一
本で総額106億8000万円を借り入れ、未返済が59億3000万円
に上ると。
このご時世になかなか豪勢な話ですねえ。
そのお金もどうもカジノでやられちゃったらしいというお話
でした。
ナイスですねえ。
その井川意高氏へのお母さん方の関心が高いのは、筑波大学
附属駒場を経て、東京大学法学部卒業した経歴からなんでし
ょうかね。
最近ちょくちょくお母さん方から意見を求められました。
井川意高氏は大王製紙の第6代社長だそうですが、創業者の
孫なので、まさに
「売り家と唐様で書く三代目」
となったともいえます。
「売り家と唐様で書く三代目」とは、ご存じのように
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三代目ともなると創業時の苦労など知るよしもなく、ぜいた
くに慣れて商売をおろそかにし、やがて家業が傾き家屋敷ま
で売りに出さなければならなくなる、という意味。
唐様とは中国風の文字ということで、文字までしゃれている
ことからも、ぜいたくに慣れ商売をおろそかにしていたこと
をうかがわせる言葉。
http://www.nihonjiten.com/data/208.html
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まあ、苦労知らずのボンボンが遊び呆けたバチだろうと見る
向きがある一方で、
毎日新聞によれば、
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井川元会長の仕事面を評価する人は少なくない。
ある大王製紙幹部は「赤字続きだった家庭紙事業を黒字に転
換させた」と手腕を評価する。
乱売の中で、取引先と安定した関係を築き、ブランド化を進
めたという。「だから、彼に愛着を持つ社員は多い」
元役員も「頭の回転が速い。威張ることもなく、他人の話も
聞ける人だった」と話す。
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ともいわれています。
現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/21959
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井川氏は、現役で東大法学部に入った俊英で、浅尾慶一郎、
後藤田正純、平井卓也といった国会議員、東大閥を中心とす
る「霞が関」の高級官僚や財界の二世たち経済人に人脈を築
き、会社では「仕事熱心な理論派」として知られていた。
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週刊文春には
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エリエールより軽い1万円札
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と書かれ、(うまい!座布団1枚)
デーブ・スペクターにはツイッターで、
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「借り入れした御曹司が一言 → 製紙が効きませんでした」
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(うまい!座布団2枚)と揶揄されていましたが、
灘とともに受験界では最高峰の筑駒に入ったということは、
本人の努力とともに頭もよかったんだろうと思います。
頑張っても入れないですから、この2校は。
そういう意味で、周りからは「ただの御曹司」ではなく、
「身の入った御曹司」と見られていただろうし、期待された
だろうし、親の期待にも大いに応えた自慢の子供だったので
はないでしょうかね。
現に仕事でも力を発揮しつつあった頭が切れる御曹司が
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製紙工場でお札刷ってたんじゃないかって思うほどの遊蕩ぶり
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週刊誌で見ましたが、人脈作りなども兼ねて
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学生時代から父親の薦めで積極的に銀座や高級料理店などに出
入りしたり
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していたとか。
「こんなお金の遣わせ方をするからダメなんだ」
とはストロングの友人の弁ですが、
「御曹司ならこれくらいは知っておかないとダメなんじゃない?」
というのがストロングの感想。
この話をしていて1つの話を思い出しました。
少し長いんですが、お付き合いください。
時は江戸時代。
「製紙会社の御曹司」ではありませんが、松代藩のいずれは家
老になる「御曹司」である恩田木工(もく)民親が主人公です。
ここまで書いた「製紙会社の御曹司」の話を念頭に読んで下さいね。
「真田騒動」 池波正太郎著
http://tinyurl.com/7w6kmkl
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木工の父も、何時だったか、用事で(江戸に)出府して来て帰
国するときに、
「これをやる」
七十両の大金を置いていったことがある。
国許では先代の信弘の勤倹ぶりを涙を流さんばかりにありがた
がり、妻や息子たちにも決して贅沢な思いをさせたことはない
し、むしろ堅苦しい父親だっただけに、びっくりして、そのし
わだらけの顔を見まもると、父親は厳格な姿勢と声を少しもく
ずさず、
「遊べ」
と、いった。
「はあ?」
「遊べよ。しかし、この金は、わしが長い間かかり、息をころ
して貯めたお金だ。遊んで、しかも学んでもらいたい。わか
るな?」
「は・・・・・」
「わしの跡をつげば、もう遊ぶことはゆるされぬ。贅沢なまね
もゆるされぬ」
父親の視線は鋭く木工を射つけて、
「家老職とはいかなるものか、いってみよ」
仕方なく、かねがね教えられていたとおり、木工は答えた。
「御家の・・・・・領内に住む、あらゆる人々を、幸福にする
ことです」
「うむ。よし、この金は思い出に遣い果たして帰って来い。た
だし、いいか、他人にわからぬようにやれ、よいな」
気むずかしくいい終わり、父親は、残り惜しげに金包みを押し
いただき、木工へわたした。
そして、うれしさを隠し切れぬ息子が金を懐ろに入れる、その
手許を不安そうに見つめていたものだ。
とにかく金七十両はうれしかった。
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日本銀行金融研究所貨幣博物館によれば、
http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/feature_faq.htm#question1
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米価から計算した金一両の価値は、江戸時代の各時期において
差がみられ、おおよそ初期で10万円、中?後期で3?5万円、
幕末頃には3?4千円になります。
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だそうで、ざっくり渡された七十両は500万円前後と考えた
らいいかもしれませんね。
「お金を遣って若いうちに遊んで学んでおきなさい」
というメッセージは同じでも、伝わっているイメージはまった
く違うこと、お金の価値の伝え方、そして最後の落としがある
かないかということなど、考えさせられます。
続きます・・・
「真田騒動」 池波正太郎著
http://tinyurl.com/7w6kmkl
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当分、酒には困らなかったが、それも使いつくし、どうにもや
りくりがつかなくなると・・・・・ひそかに開かれる博打場へ
出かけたこともある。
・・・・あのうす暗い中間部屋に集まった雑多な連中の、むん
むんする人いきれに包まれ、眼を血走らせ、・・・脂汗をかい
て見入る気持は、今でも忘れない。
そして、一夜のうちに賭事で儲けた金は一夜のうちに遣い果た
しても惜しくないものだ、ということも知った。
酒の香と赤い灯と・・・・・女たちの笑い声や化粧の匂い。派
手やかな、そしてしめっぽく官能にふれてくる女たちの三味線
や唄声。
舟で深川の茶屋に行ったこともあるし、品川へ遊びにでかけた
こともある。
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酔って、門限がすぎた藩邸へ帰り、そっと門番に小粒をつかま
せて門内に入りこむこともたびたびあったし、倹しい他の藩士
たちにさとられまいと気をつかいながらも、目もくらむような
享楽に耽溺していたのである。
・
・
・
木工の江戸での放蕩も、23歳の夏、父の死によって絶ち切ら
れた。
病気が重いと聞いて帰国した木工に、父親は病床から、気難し
い小さな眼で、なめ廻すように息子の顔や躰を見て、木工が照
れくさくなるほど、永い間、何もいわなかったが、やがて
「全部、遣って来たな?」といった。
「は・・・・?」
「金70両のことだ」
「あ・・・・・」
「もうおもい残すことはあるまい」
「・・・・・・」
「あの70両はな、親の慈悲だぞ」
「恐れ入ります」
「後を引くなよ」
「は・・・・・」
しかし、まだ江戸での暮らしが、・・・・馴染んだ女の顔や匂
いが、ぐるぐると止めどもなく、風車のようにまわっていたの
だが。
間もなく父親は亡くなった。
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・
・
息を引き取る前に、父親は、またいった。
「家老職とは、如何なるものか忘れるな」
「は・・・・・」
父親は、突然、床の上に起き上り、激しく木工の手をつかんだ。
「これからも大名の暮しは楽になることはあるまい。領地が倍
になり、米が倍もとれぬかぎりはな。家老は藩治をつかさど
る者だ。」
「家老が贅沢に馴れれば、無理矢理に金をつくらねばならぬ。
その金は汚いものになるのだ。汚い金でなければ、この小さ
な国の中で贅沢に使えるものではないのだ。」
「が、それもいい。しかし、おぬしは、おれの死んだ後、この
恩田家を背負わねばならぬ。身をあやまり、この家を潰して
はならぬ。おぬしの母や弟妹、妻や子、親類一同のことを、
よくよく考えてもらわねばならぬ。また御家に間ちがいのな
いよう、全身をあげてつとめろ。よいか・・・・」
「はい」
「御家に忠義というはなあ、御家をうしなえば、われらも家を
うしなうのだ。御家が潰れれば、われらも禄をうしなうのだ。
禄を離れた侍ほど、あわれなものはないのだぞ。わかるなあ」
「はい」
うなづいた父親は、疲れきって横たわると、木工の母や弟妹た
ちを呼び寄せ、ゆっくりとその顔の一つ一つを見まわしてから、
「元気で暮らせい」
こちらの胸の底に沁みとおってくるような微笑を送ってよこした。
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「家老が贅沢に馴れれば、無理矢理に金をつくらねばならぬ。
その金は汚いものになるのだ。汚い金でなければ、この小さ
な国の中で贅沢に使えるものではないのだ。」
身にしみるお言葉。
現在に生きる人間が抱える種々の問題や悩み、これらについて
はすでにあらかた出てしまっているとストロングは思っています。
あなたの悩みや問題は、人類史上でいずれもすでに起こってし
まっているものばかりというわけです。
それらの一部を力ある作家がノンフィクションやフィクション
として、私たちにわかりやすく贈り届けてくれている。
私達は先例を学び、考え、現状に当てはめればいいんですから。
ありがたいことです。
大王製紙の井川一族は池波正太郎は読まなかったのでしょうね
え、たぶん。
「御曹司」は受験が終わったら、「銀座や高級料理店に出入り」
してもいいし、「タレントや女優の卵をそばにはべらせ」ても
良かったから、池波正太郎を読んでおくべきでした。
誰かが教えてやったらよかったんですが・・・ 残念!
池波正太郎著「真田騒動」の文庫本の最後の解説で、佐藤隆介
さんがこんなふうに書かれています。
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池波正太郎が真田家の人々を描き続けてきたのは、時代が遠い
昔のことであり舞台が信州松代という小さな国であるにもかか
わらず、そこに現代の日本のすべてが凝縮されてあるから・・・
とはいえないだろうか。
読めば読むほど、これは過去の物語ではない。
現代の、私たち自身の物語である。すぐれた小説はタイムマシ
ンのように私たちを運び、過去・現在・未来を往復させるもの
のようである。
ちなみに、真田信幸の最晩年を描いた『獅子』という長編小説
も池波正太郎にはある。
本書『真田騒動』を読み、『獅子』を読み、それから『真田太
平記』という大河小説をも完読すれば、人間の質がだいぶ変わ
るだろう、と私は思う。
少なくとも男ならば。 【昭和五十九年八月】
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まったく同感です。
縁のあった子供たちには社会に出る前に読みなさいとストロン
グはもう長い間思い、ススメてもきました。
ぜひまだの方はご一読くださいませ。
ああ、寝る前に読んじゃ、読ませたらダメですぞ!
この前中学生が読んでたら徹夜になった!って言っていましたから。
池波正太郎の代表作『鬼平犯科帳』もお忘れなく!押忍!
『真田騒動』 http://tinyurl.com/7w6kmkl
『獅子』 http://tinyurl.com/894wo2h
『真田太平記』 http://tinyurl.com/7lqm6lp
『鬼平犯科帳』 http://tinyurl.com/rcrlpx
最後までお読みいただきありがとうございます。
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