後藤又兵衛基次

2013年2月17日

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後藤又兵衛基次


yukimura.gif 慶長五年、徳川家康と石田三成との抗争発するや、黒田長政は、田中兵部少輔吉政、藤堂佐渡守高虎とともに、尾張に討入り、犬山城を降し、進んで美濃の岐阜に向わんとして、合渡川をへだてて、石田三成、島津兵庫頭義弘と、対陣した。

この日、合渡川は、連日の豪雨に、濁流渦巻いて、瀬枕を沈めるまでにあふれていた。

この激水を越えて彼岸で戦わんか、敵が此岸に襲って来るのを待つか。諸将の議論は、ふたつに割れた。

後藤又兵衛は長政の後方にひかえて、終始目蓋を閉じて、黙然としていたが、やがて、なんとはない沈黙が座を占めた時、大きくまなこをひらいた。

「およそ、戦いと申すものには、勝とうが負けようが、ここを最期の地と覚悟した上での、駆引の分別と存じ候。されば利不利の議論よりも、まず、時を置かずして、それがしの一隊が、川を乗越えてご覧に入れ申そうず。全員が討死にしても、それまでのこと。先ずは、こころみるに如かず」

と、云いはなっておいて、さっさと陣営を出るや、野口一成を呼んで、

「死んでくれい」

と、命じた。

「かしこまった!」

野口一成は、完爾として、承諾するや、真紅の長槍を把って立った・・・・・

柴田錬三郎著『真田幸村』より



黒田孝高(如水) 豊前国中津城主
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yukimura.gif 五月六日、家康・秀忠の統率する大軍は、城南一帯の平野を蔽うて、折潮の倒れかかるごとく、大阪城めがけて、押し寄せて来た。これを迎え撃つ大阪方の戦略もすでに成った。

第一軍(兵数約六千四百) 後藤又兵衛基次、薄田隼人正兼相、井上小左衛門定利・・・・この第一軍、第二軍が城から出て、大和路をひた押しに押し寄せてくる大軍を迎え撃つことになった。

まずは後藤又兵衛基次が、手勢三千を率いて、威風堂々と城を発して、奈良街道の第一端たる平野に出て、営を布いた。

この報がいたるや、家康は、執政本多佐渡守正信の親族である京都相国寺の一沙門楊西堂に旨を授け、ひそかに、平野の営におもむかせた。

楊西堂は、又兵衛に会見するや、

「大御所、将軍家御両所様には、かねて、喜殿の武略を賞でさせられるところから、拙僧に罷り向い、この際、是非お味方に転じられ度いと懇談せよとの御下名でござる。されば、貴殿に、御生国播磨一円を進ぜさせられる可き旨を申し伝えよとの御沙汰。如何に候や?」

と説いた。

又兵衛は、これをきいて、屹と容を改めて、

「この基次に、弱きをすてて、強きに就けとの仰せか、有難き好餌なれど、たとえにも申す。香餌の下必ず死魚あり、とか。ひらにご辞退申す」

と、こたえた。

楊西堂も、人を看ることのできる高僧であった。説いて無駄と知るや、又兵衛は、何気ない口調で、

「それがしほど、冥加にかなった武辺は、またとござるまい。旧主人に追討ちされんとして、諸処を放浪するあいだは、八方より、随身をすすめられ、このたび、太閤殿下の御後嗣に是非にと招かれて、一軍の指揮をまかされたり。対手とするのは、天下の支配者。武辺として、まことに、働き甲斐あり、と申すもの。もし、それがし、斯くて在るならば、一日で落つ可き大阪も十日は持ちこたえ、それがし一日で相果てなば、百日続くべき籠城も一日のうちに、片がつき申すべし。もはや、行末は相見え申した。それがし討死の沙汰が、大御所のおん耳に達したならば、大阪城の運命は尽きた、とおぼし召され、と申していたとお伝え下され」

と莞々として語った。

辞気、態度・・・泰山富嶽、まことに堂々たるものであった。

柴田錬三郎著『真田幸村』より


リアルよりリアルティですからね。


matabeesakura03.jpg春日野奈良観光のサイトによれば


・・・・又兵衛桜は大坂夏の陣で活躍した又兵衛にちなんで名づけられました。

又兵衛は戦いに破れここ大宇陀の地で僧侶になり、姓を後藤と名乗って余生を過ごしたという伝説があります。この地には後藤の性を名乗る家が数件あり、この場所も後藤家の屋敷跡です。


まあ、又兵衛基次が「生き延びた」ということは、その気質からも、ありえないのではないでしょうかね。そう思うけれど。

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